プロダクトへの愛

 そのスティーブとたまたま「マイクロソフトとアップルのどこが違うか」という話題になった時に、彼が言った言葉が今でも心に残っている。


 「マイクロソフトのプロダクツにはソウル(魂)が無い」


 この言葉には本当にまいってしまった。

Life is beautiful: ソウル(魂)のあるもの作り

我々は所有することによって誇りをもつべきなのです。「私はこれを記述した、そしてこの仕事の後には私が付いている」と。品質の証明として、あなたの署名が入っているべきなのです。あなたの名前をコード中に見いだすことによって、みんな、それがきっちりと記述、テスト、ドキュメント化されたものであることを確認できるのです。それが本当のプロの仕事です。それが本当のプロによって記述されたものなのです。

アンドリュー・ハント/デビッド・トーマス著「達人プログラマー」p.263

また、開発会社として自分達の製品を愛することも重要です。そして、自分の納得できないことが製品にあればあるほど、その製品を愛せなくなるでしょう。必要ではないと思う顧客のリクエストには応じない、というのも正当な理由の一つです。

Getting Real by 37signals

最近読んだ本で、エントリで、立て続けに近しい表現を見ました。
「魂」と呼んで、「誇り」と謳って、「愛」と語られるこれらは同じような事柄を指し示していると私は感じました。
(私はスーパーでバイトしていたことがあるのですが、魚介類のラッピングをぞんざいにやってしまったことに対してチーフから「愛がないな」と言われたことも併せて思い出したりしました。そこのチーフは少しでも商品に対して気を抜いたことをしたら「愛がない」と言ってきました)
要は、自分の作ったものと、どれだけ真剣に向き合っているかという話だと解釈しています。
「何を当たり前のことを」そうとも言えます。けれど、この部分で私はつまずきを感じます。


みんな、どれくらい、自分の、自分の会社のプロダクトを愛しているものなんでしょう。


言い訳はしても良いと思っています。ただ、言い訳しつつ自身の作ったものを否定するのみだったりすると、その作ったものには言い訳と妥協しか詰まっていない気がして、嫌な気分になります。


そうはいうものの、自身だって振り返ってみると、やっぱり数年昔に手がけたものなんかは目を背けたくなるような代物だったりするのだろうとも思いますし、その代物に対して言葉を求められたなら、きっと口からは言い訳があふれでてくる気がします。


…こういう気持ちのときにこそ、「黙ってコード書け」というフレーズが一番しっくりくるのかもしれません。